「ゴッホ展」、「風景の科学展」、「ハプスブルク展」と巡った上野をあとにして、ホテルオークラ東京に向かった。別館で開かれている「音楽のある展覧会」を訪れる。「ハプスブルク展」同様、日本とオーストリア国交樹立 150 年を記念して、ウィーン楽友協会アルヒーフ展「19世紀末ウィーンとニッポン」と、特別写真展「素顔のウィーン・フィル」が開催されている。
19世紀末のウィーンについては、半年ほど前に「ウィーン・モダン」展や「クリムト展」で学んだ。ハプスブルク帝フランツ・ヨーゼフのもと、城壁が取り壊されて、リンクシュトラーセ(環状道路)が建築された。そしてリンクシュトラーセ沿いに博物館、美術館、劇場、そしてウィーン学友協会の建物などが建てられた。ウィーン学友協会の建物は、コンサートホールでもあり、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地でもある。「19世紀末ウィーンとニッポン」展では、クラシック音楽を通じての日本との交流にまつわる展示が行われている。
音楽の都ウィーンを代表する作曲家たち、ブラームスに始まり、ブルックナー、ヴォルフ、ヨハン・シュトラウス、マーラー、リスト、リヒャルト・シュトラウス、ワーグナーなどが紹介されるとともに、ブルックナー自筆のスコアが展示されている。
必見はベーゼンドルファーの214VC、そのクリムトモデルのグランドピアノである。全世界 25台限定、クリムトの "Woman in Gold" の絵が、金箔を使って施されている。
展覧会の見学ついでに、リニューアル・オープンしたホテルオークラ東京を探検してみた。実をいうと、別館の古めかしい駐車場ではなく、新装した建物の駐車場に、わざわざ車を止めてみたのだ。
斜面に建っている関係で、車寄せ・ロビーは 5F、そこから地下に潜る駐車場は 4F と、初めての人にはなかなか分かりにくい構造である。駐車場を出るとすぐショップが並んでおり、そこから一つ上がってロビーとなる。そこには、昔のホテルオークラの懐かしいロビーの風景が広がっていた。以前とは向きがちがうものの、伝統のあるロビーをなくしてしまうのは惜しいという声に応えたものだろう。
新しいホテルは、ヘリテージウイングと呼ばれる建物と、プレステージタワーとからなり、相互につながっている。一方、別館とは地下でつながっているわけではなく、一度地上に出て、交差点を渡って入館することになる。大倉集古館の横から、プレステージタワーを見上げてみた。
本館の駐車場に止めて、別館のイベントに参加した訳だが、大丈夫、ちゃんと駐車料金の割引が適用された。さすがのホスピタリティーである。