絵の力に釘付けになった「ゴッホ展」を後にして、国立科学博物館に向かう。企画展の一つ、「風景の科学展 芸術と科学の融合」を観るためだ。グラフィック・デザイナーの佐藤卓が企画したユニークな写真展だ。
写真家・上田義彦が撮影した風景。それを前に、国立科学博物館の自然科学者たちは何を思うのか。地学、動物学、植物学、人類学、理工学といった研究部門の科学者たちが、それぞれの独自の視点に立って、風景写真に解説文を寄せている。われわれはまず風景写真を観る。次に解説文を読む。「科学者って、同じ写真を見ても、こういうユニークなことを考えるんだ」と驚いた後に、改めて同じ風景写真を眺めると、今までとは違った視点で見られるという趣向になっている。
たとえば暗い海の写真。その解説文が夜のプランクトンの動き。たとえば南米の風景。その解説文は人類の最後の祖先について。東尋坊の断崖絶壁については、柱状節理が六角形になり易いという説明がある。この企画はなかなか興味深い。惜しむらくは、解説文の文字が小さいこと。老眼には辛かった…。
artscape のレビューが、この小規模の展覧会の魅力をきちんと伝えている。芸術と科学が好きな方に是非お勧めしたい展覧会である。国立科学博物館の常設展のチケットで観覧できる。

風景の科学 芸術と科学の融合 Illuminating Landscapes
- 作者: 上田義彦
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2019/09/10
- メディア: 大型本
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写真集はちょっと高価である。それと比較できるものではないが、先日、99円で入手した図鑑『世界自然遺産でたどる美しい地球』は、美しい風景の写真と、その風景の地形がどのように形成されたかを、地球科学の観点から解説しており、この展覧会のコンセプトに近い本であった。

- 出版社/メーカー: 新星出版社
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