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新型レヴォーグ vs. ボルボ V60:ごく私的な比較

安全性能が大幅に進化し、今や日本車で最も進んだ運転支援機能を備えていると言ってもよい新型レヴォーグ。新型レヴォーグのプロトタイプが発表された時、その外観のデザインは、初代からのキープコンセプト。「リアはカッコよくなったけど、フロントは初代の方がいいかなー」くらいの印象だった。正直、あまり乗り換える価値を見出していなかったのだが、8月20日に発表されて以来、数々のネット動画を見て、その先進的な中身を知るにつれ、まったくの無関心ではいられなくなった。というか、むしろ非常に興味が湧いてきた。

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恵比寿のスバル本社ショウルームに実車が並べられているというネット動画を見て、展覧会の帰りに寄ってみたが、残念ながらクローズドなイベント開催中のようで中に入ることはできなかった。夕方からのオンライン配信イベントの準備中だったと思われる。


スバル レヴォーグ 新型、スバル本社に一斉展示!ノーマルからSTI Sportまで実車でチェック!気になる値引き情報は説明欄から!

実車に会えなかったのは残念だが、いつもお世話になっているディーラーに行き、カタログを貰ってきた。コロナ禍のディーラーは、透明なシート越しでの会話になる。周囲を見ても、皆、新型レヴォーグの商談をしている。営業さんも力が入っていた。8月20日の発表以来、何と 3日間で 700台売れたとのこと。今週予約して納車は11月末から12月になるらしい。ディーラーで試乗できるようになるのも同じ時期で、買ったお客さんのところに届く方がむしろ早いくらいだと言う。

アイサイトX の高精度な 3D 地図は、主要な高速道路に対応、もちろん首都高にも対応しているそうだ。

また新型レヴォーグに組み込まれている大画面カーナビはデンソー製とのこと。そうそう、スバルはトヨタの出資率 20%、持ち分法適用会社なのだった(実はあまり興味がなくて知らなかったのだが、プリウス PHEV のコクピットも、レヴォーグと同じ 11.6インチの縦長ディスプレイである)。

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それにしても「試乗するかはともかく、実車も見ずに買う人が 700人もいるのか」というのが、ちょっとした驚きだった。しかも熟成前の初期モデル(スバルの場合 A型と呼ぶ)である。でも TESLA などはオンライン販売で、ブラウザ上でクリックして購入する訳だし、そういう時代なのかもしれない。

一方、僕はと言えば、車の性能よりもデザインを重視するならば、外観・内装ともにボルボ V60 のシンプルで上質な感じが好きである。内装の色も選べる。欧州車屈指の安全性も申し分ない。

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僕にとって V60 のよさは上質なデザインの車を所有するステータス感、というところに集約されるかもしれない(要するに見栄)。一方、レヴォーグは先進性能の車を運転する楽しさ。もちろん値段も違う車なので、同じ土俵に上げて比較するものではないと思う。それでもあえて、僕個人としては比較対象になっている V60 T5 Inscription と新型レヴォーグ STI Sport を、細かく比べてみると…。

V60 のよいところ
  • 洗練されたスカンジナビアン・デザイン
  • 内装の質感の高さ、革の色(白、茶色、黒)も選べる
  • マッサージ機能の付いた椅子
  • 5年保証(無償部品交換)
  • 2000cc・350Nm(トルクフルなエンジン、ポールスター・ソフトウェア導入により 400Nm まで向上可)
  • 静粛性(分厚いドア)

レヴォーグの外観で、あまり好きでないところは、ボンネットにあるジンベエザメの口のようなエア・インテークである。レガシィの時にターボではなく自然吸気を選んだのも、このインテークを避けるためだった。その点、水冷式のせいか、V60 のボンネットはすっきりしている。トール・ハンマーのヘッドライトはカッコいいし、縦型のリアライトもカッコいい。新型レヴォーグもフロントはともかく、リアは現行に比べて、カッコよくなったと感じている。

V60 の内装はすっきりとシンプルで落ち着いている。ドリフト・ウッドのパネルもよい。内装の色(椅子の革の色)も豊富なバリエーションから選択できる。一方、レヴォーグの内装色は選べず、黒一択である。STI Sport に至っては、ボルドー(ワインレッド)という特徴的な色のみ。この色を上質と思うかどうかは好みが分かれると思う。同じスバルでもレガシィ アウトバックのように、革の色(白、茶色、黒)を選ぶことができるようになるとよいのだが。

新型レヴォーグのエンジンは 1800cc・300Nm とトルクフルになっている。現行の 1600cc・250Nm に乗っている人間からすると、新型には期待が持てる。350Nm の V60 は走らせてみて非常にトルクがあり、静かだと感じた。その一つの要因が分厚いドアだと思っているが、実はこれが開け閉めするのに少し重いという弱点にもつながっている(家人には不評)。

現行レヴォーグは静粛性と言う点では課題があった。ロードノイズや風切り音は、以前乗っていたレガシィの方が抑えられていたと思う。新型レヴォーグは静粛になったというレポートが多いので、期待している。

レヴォーグのよいところ
  • 日本の道路事情に適した先進運転支援技術(アイサイトX)
  • 取り回し(横幅 1795mm、最小回転半径 5.5m)
  • そもそも AWD である(雨天高速走行時の安心感)
  • パドルシフトである
  • 電子制御ダンパーで、ドライブモードを切り替えられる(STI Sport)
  • レギュラーガソリンで走る
  • 荷室にゴルフバッグが真横に4つ入る
  • UVカットのプライバシーガラス
  • ディーラーの対応に対する安心感

アイサイトは高速道路の運転を非常に楽にしてくれる。特に渋滞時のハンズオフは日本の道路事情をよく知っているからこその機能である。V60 の横幅は1850mm、立体駐車場にぎりぎり入る大きさである。最小回転半径は 5.7m とレヴォーグに比べて少し大きい。ゴルフバッグが真横には入るレヴォーグの荷室は、何人かで連れ立ってゴルフに行く日本のゴルファー事情を意識した作りだと思う。

高速道路ではアイサイトの運転支援を大いに活用しているものの、ワインディングなどを走る時には、やはり運転そのものを楽しみたい。パドルシフトは必須機能だが、残念ながら V60 には付いていない。

レヴォーグ STI Sport の電子制御ダンパーには興味がある。路面の凹凸をどのようにいなすのか。シーンに合わせてドライブモードを切り替え、ダンパー、AWD、ステアリング、エアコンなどの制御を変えられるのは楽しそうである。一方、ボルボ V60 の場合、Four C アクティブシャーシというオプションを選択することで、電子ショックアブソーバーが導入されて、ドライブモードを切り替えることができる。

僕は輸入車を所有したことがないので、故障した時の保守メンテナンスが心配である。部品が高いのではないか、交換するのに母国から取り寄せたら時間がかかるのではないか。特にボルボの場合、5年保証はついているものの、トラブルが多いという報告もあり、メンテナンス体制が十分に整えられているのか、懸念している。

スバルについては、レガシィレヴォーグと乗り継いできたこともあり、車そのものの性能・機能も予想がつくし、運転操作のインタフェースも慣れている。故障の頻度・程度も想定できるし(レガシィも現行レヴォーグの初期型も、故障はほとんどなかった)、ディーラーの保守対応についても安心感がある。

そう考えると、今回の比較は、スマートフォンやパソコンのようなガジェット選びと似ている気がしてきた。たとえば初期の iPhone は、新しいものが出るたびにその性能・機能が進化しているので買い替えていた。その際、使い慣れている iPhone から、どんなに性能がよくても Android に乗り換えることはなかった。パソコンの場合も同様である。どんなにデザインがよくて機能が優れていても、Windows から Mac への乗り換えはハードルが高い。車のメーカー選び・車種選びも、ガジェット選びに通じるものがある気がする。

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そうそう、レヴォーグと V60 のコクピットは、どちらも縦長ディスプレイのせいか、よく似ていると思う。上から V60、新型レヴォーグ STI Sport、初代レヴォーグ STI Sport Black Selection のコクピット(いずれも Motorfan.jp より引用)。

Volvo V60 T5 Inscription コクピットMotorfan.jpより引用)

新型レヴォーグ STI Sport コクピットMotorfan.jpより引用)

現行レヴォーグ STI Sport コクピットMotorfan.jpより引用)

因みに、アウディ A4 とメルセデス C180 のコクピットはこんな感じ:

Audi A4 コクピットMotorfan.jpより引用)

Mercedez-Benz C180 コクピットMotorfan.jpより引用)

motor-fan.jp motor-fan.jp motor-fan.jp

新型レヴォーグ内外装の詳細映像

恵比寿のショウルームに置かれているレヴォーグを、子細に撮影した映像がある。これで実車を見られなくても、その質感を確認することができる。STI Sport や GT-H EX の映像は参考になる。11.6インチのディスプレイやオプションのカーナビの操作性もわかる。


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