Muranaga's View

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空いている美術館でゆったり「浮世絵風景画」を楽しむ(町田市立国際版画美術館)

コロナ感染が拡大している中、空いていて、かつ自分の好きな絵を観られる展覧会ということで、目をつけていたのが、町田市立国際版画美術館で開催されている「浮世絵風景画 - 広重・清親・巴水 三世代の眼 -」展である。

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町田市立国際版画美術館は芹ヶ谷公園の一角にある

町田市立国際版画美術館を訪ねるのは3年ぶりだ。2018年4月に「浮世絵モダーン」展に来ている。美術館は緑豊かな芹ヶ谷公園の一角にある。横浜の自宅からは、車で 40分くらいで行くことができる。

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「浮世絵風景画 - 広重・清親・巴水 三世代の眼 -」展

今回の「浮世絵風景画」展は、副題にあるように、江戸時代の歌川広重、明治時代の「光線画」小林清親、そして大正・昭和時代の「新版画」川瀬巴水の三世代にわたる絵師たちによる抒情性豊かな浮世絵風景画を、これでもか、というくらいのボリュームで展示している。

最初のコーナーでは、江戸から東京へ移り変わる中で、3人の絵師が同じ場所を描いた絵を並べて展示している。構図、色使いの違いを比べて観ることができるし、清親や巴水が広重から影響を受けていることもわかり、非常に興味深い展示になっている。描かれているのは、神田明神、芝増上寺亀戸天神である。

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歌川広重《名所江戸百景 神田明神曙之景》(1857)

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小林清親《神田八雲神社暁》(1880)

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川瀬巴水東京二十景 神田明神境内》(1926)

巴水の描く神田明神は、関東大震災で被災した後のものである。

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歌川広重《東都名所 芝増上寺雪中ノ図》(1830-44)

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小林清親《武蔵百景之内 芝増上寺雪中》(1884)

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川瀬巴水東京二十景 芝増上寺》(1925)

3人の絵師がいずれも雪の中に赤く映える三解脱門を描いている。

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歌川広重《名所江戸百景 亀戸天神境内》(1856)

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小林清親《武蔵百景之内 亀戸天満宮》(1884)

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川瀬巴水《亀戸の藤》(1932)

近景に藤、遠景に橋を描く構図が共通している。広重の影響は大きい。

出品点数 370点。歌川広重の《東海道五拾三次》、《江戸名所百景》シリーズ、小林清親の「光線画」、川瀬巴水の「新版画」の代表作が展示されている。浮世絵による日本の風景を堪能できる展覧会である。前後期で全点展示替えをするらしい。後期(8/12 - 9/12)も来てみようかな?

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歌川広重東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景》(1833-34)

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歌川広重東海道五拾三次之内 庄野 白雨》(1836)

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歌川広重《名所江戸百景 亀戸梅屋舗》(1857)

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歌川広重《名所江戸百景 深川万年橋》(1857)

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小林清親《海運橋 第一銀行雪中》(1876)

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小林清親天王寺下衣川》(1880)

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川瀬巴水《東京十二題 深川上の橋》(1920)

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川瀬巴水東京二十景 馬込の月》(1930)

コロナ禍で海外の作品を持ってこられない影響もあるのだろう、今年は浮世絵や日本画の展覧会が充実している。

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2021年9月4日 追記

「浮世絵風景画」展は、後期展示も充実しており、図録も購入した

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