最近、若手ピアニストの藤田真央君の追っかけになってしまっていて、「スーパーソリスト達による秋のコンサート」というシリーズのコンサートに、1日おきで通っている。11月28日は室内楽、30日は協奏曲を聴く。
演目:
演奏:
- 樫本大進 Daishin Kashimoto (ヴァイオリン, Violin)
- 赤坂智子 Tomoko Akasaka (ヴィオラ, Viola)
- ユリアン・シュテッケル Julian Steckel (チェロ, Cello)
- 藤田真央 Mao Fujita (ピアノ, Piano)
実に久しぶりのサントリーホール。しかもステージの後ろの席は初めてである。ここからなら「真央君の指の動きがよく見えるかも」と思って申し込んだのだが、ドンピシャであった。柔らかい手首を使って繰り出される繊細なタッチ、目にも止まらぬ高速の指さばきを堪能することができた。真央君のピアノは、時に繊細で時に力強い。音が一つ一つ立っていながら滑らかで美しい。
そして樫本さんを初めとするソリストたちの弦楽と、真央君のピアノが美しいハーモニーを奏でる。ソリストたちが自己主張するのではなく、互いに合わせて、自分たちの音を見事に一つの音楽に融合させていく。
モーツァルトでは例によって装飾をかなり入れていた模様。即興の際には弦楽の他のプレーヤーが「おっ」となって笑っていたらしい。その表情は残念ながら後ろの席からはわからなかったけれども。
モーツァルトから一転、メンデルスゾーンらしい美しいトリオも(最近はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲を、略してメントリとか言うらしいが、個人的には慣れない)、ブラームスのしっかりした構成のクアルテットも素晴らしかった。弦楽とピアノの対話。真央君も楽しそうな表情で、自在に音楽を奏でている。
さぁ、次はピアノ協奏曲。何とラフマニノフの 2番と 3番という信じられないような組み合わせである。
4月に真央君によるシューマンの協奏曲を聴いた時は、オーケストラと対話するような演奏がとてもユニークだった。難曲のラフマニノフでは、どういう演奏を見せてくれるのだろう。
8月のルツェルン音楽祭での真央君のラフマニノフ第 2番は、リッカルド・シャイー指揮のなかなか重厚なオーケストラとの共演だった。今回はどんな演奏になるのか、楽しみである。
藤田真央君の最新インタビュー記事も、ベルリンでの彼の生活を知ることができて楽しい。
今夜のコンサート前の夕食は、六本木一丁目駅・泉ガーデンタワーのイタリアンにて。何を今さらという感じだが、南北線の六本木一丁目駅ができて、サントリーホールへのアクセスはとてもよくなった。昔は溜池山王駅から歩いたし、さらにその前は六本木駅から延々と歩いたものである。