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豊かな音色を自在に奏でる藤田真央。チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番と2番を堪能した(横浜みなとみらいホール)

相変わらず、藤田真央君の追っかけを続けている。彼の奏でる美しい音色は魅力的だし、オリジナルの解釈で聴いたことのない演奏は、いつも期待を超えてくる。今回はチャイコフスキーのピアノ協奏曲の 1番と 2番が聴ける豪華なプログラム、《熱狂のチャイコフスキー》である。指揮:高関健、管弦楽:神奈川フィル(テレビドラマ「リバーサルオーケストラ」に出演中)。

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<オール・チャイコフスキー・プログラム>:曲目・演目

前日に高関健さんが次のようなことを呟いていたので、きっとゆったりとしたテンポで、一つ一つの音を丁寧に聴かせる演奏になるのだろう、と思っていたが、案の定、その通りだった。

チャイコフスキーの1番と言えば、だいたい第1楽章が 20分ほど、曲全体でも 40分程度の曲だが、今回の真央君の演奏は、第1楽章に 25分かけ、全体でも 50分というゆったりした演奏であった。聴き慣れた速さとは違うので、別の曲のようにも聴こえる斬新な演奏である。遅いテンポから速いテンポへ、緩急を自在につけてグルーヴ感を出してくるのが、藤田真央君らしい。

真央君はいつもオーケストラと対話をするように協奏曲を弾く。それが遺憾なく発揮されたのが、2番であった。ポピュラーな 1番の陰で、めったに演奏されることがない 2番だが(僕も YouTube でどんな曲か予習をした)、美しい旋律の協奏曲である。第1楽章のカデンツァの真央君の演奏は圧倒的。第2楽章では一転、ヴァイオリン(戸原直)とチェロ(門脇大樹)のソロパートとの共演となり、ピアノ三重奏のような曲となる。その後ろで弦楽が伴奏を奏でる。ピアノとオーケストラの対話である。

万雷の拍手の後のアンコールは、一転、それはそれは美しい音色のノクターンだった。静かな和音を丁寧に積み重ねるような演奏に心打たれた。

1月25日のカーネギーホールデビューとなるリサイタルも大成功に終わったというが、藤田真央の演奏は実にドラマチックである。

藤田真央君のピアノ協奏曲の演奏は、シューマンベートーヴェンの「皇帝」も、ゆったりとしたテンポで、オーケストラと対話する演奏であったことを付記しておく。真央君が二つの協奏曲を弾く豪華なプログラムと言えば、ラフマニノフの 2番と 3番も忘れられない。

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公演後は何とサイン会!疲れ知らずの真央君である。ざっと 200-300人の人が並んでいた。それを横目で見ながら、みなとみらいホールをあとにする。神奈川フィルが出演する TVドラマ「リバーサルオーケストラ」コンサートのポスターが掲示されていた。

コンサートの余韻に浸りながら、いつものようにクイーンズスクエアのイタリアン、ペッシェドーロで夕食。

そうそう、チャイコフスキーのピアノ協奏曲2番については、YouTube にいくつか動画がある。真央君が2位となったチャイコフスキー国際コンクールの時の優勝者であるアレキサンドル・カントロフの演奏がこちら:


www.youtube.com

チャイコフスキー国際コンクールの真央君の演奏はこちら:


www.youtube.com