国立新美術館から東京ミッドタウンに戻ってランチ。久しぶりに HARBS のミルクレープを味わう。
そしてサントリー美術館の「吹きガラス 妙なるかたち、技の妙」展に出かける。軽い気持ちで訪れた展覧会だったが、これがなかなか目を見張らされるものだった。吹きガラス工芸の凄技を目の当たりにして、息を呑む。
Web サイトから展覧会の概要を引用する:
吹きガラスは、ドロドロに熔けた熱いガラスに息を吹き込み、風船のように膨らませて器を作る技法です。直接手で触れることなく、ガラスの温度や状態を見定めながらスピーディに器を形づくる吹きガラスは、ガラスという素材の性質を活かした、まさにガラスならではの技法といえます。
紀元前1世紀に遡る吹きガラスの登場によって、ガラス容器の生産・流通が大きく変化しただけでなく、ガラスならではの〈かたち〉が開花しました。本展覧会では、そのような吹きガラスならではの表現を生み出した作り手の〈技〉に注目しながら、古今東西の特色ある吹きガラス作品をご覧いただきます。あわせて、現代のガラス作家や研究者とコラボレーションした研究成果をご紹介し、かつての名もなき吹きガラス職人たちの創意工夫に迫ります。
作り手目線で作品を味わいながら、吹きガラスの魅力を再発見していただけますと幸いです。
吹きガラスは紀元前1世紀中頃、ローマ帝国下の東地中海沿岸域に始まると考えられており、展示はその頃の作品から始まる。熔解炉で熔かした熱いガラスを成形・加工することをホットワークというが、その表現は 15~17世紀頃のイタリア、ヴェネチアにおいてひとつの頂点に達したと言える。
《船形水差》は10以上のパーツからできているというから驚きである。溶けたガラスを接着剤の代わりに使い、2 ~3人の職人が息を合わせて組み立てたと考えられている。
当時のヴェネチアの技法を現代によみがえらせた作品も展示されている。伝統的なレース・ガラスに、ホットワークで作られたドラゴンを組み合わせた作品などが目を惹く。
江戸時代の日本の吹きガラス《藍色ちろり》が展示されている。これがどのように作られたのか、その技法の研究動画が YouTube で公開されている。
明治時代には、ヨーロッパから招いた技術者の指導のもと、大規模な熔解炉を用いた複数名の流れ作業による製作スタイルが導入され、西洋式の道具や製法も伝授された。明治時代末頃から昭和時代初期にかけて作られた氷コップ(かき氷入れ)にみられる多様な装飾技法は、西洋から伝えられた技術が国内において習熟したことを物語っている。
現代アートとしての吹きガラスの展示もある。これが本当に吹きガラスの技法で作られたのだろうか?そう思わせる新しい造形表現である。