Muranaga's View

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すべてが国宝という展示に圧倒される特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

週末の金曜日、少し早めに仕事を終えて、トーハク創立150周年記念の特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」へ足を運ぶ。入手できたチケットの入場時間は 16:30-17:30。東京文化会館で早めの夕食を済ませて、17時過ぎに会場に入る。指定時刻より 30分ほど入場をずらしたお陰で、大きな混雑に巻き込まれることなく観覧することができた。

tohaku150th.jp

夜のトーハク

表慶館

特別展「国宝」は平成館で開催されている

展覧会は 2部構成となっており、第1部は「東京国立博物館の国宝」、第2部は「東京国立博物館の 150年」。

現在、国宝に指定されている美術工芸品は全国に902件あり、東京国立博物館ではその約 1割となる 89件を所蔵している。第1部では、この国宝89件すべてを会期中に公開する。展示替えがあるため、長谷川等伯《松林図屏風》や岩佐又兵衛《洛中洛外図屛風(舟木本)》などを見ることはできなかったが、雪舟《秋冬山水図》や狩野永徳《檜図屛風》、久住守景《納涼図屛風》などを堪能する。

絵画、書、刀剣、漆工芸、さらには古代の埴輪、銅鐸、鏡。「これでもか」と国宝が並べられていて、圧倒される。なんといってもすべての展示品が国宝なのだ。89件の国宝は、Webサイトで紹介されている。

図録から実際に見た国宝のごく一部を紹介する:

雪舟等楊《秋冬山水図》 室町時代 15-16世紀

久住守景《納涼図屛風》江戸時代 17世紀

埴輪 挂甲の武人(けいこうのぶじん) 古墳時代 6世紀

竜首水瓶(りゅうしゅすいびょう) 飛鳥時代 7世紀

第2部で紹介されるトーハクの歴史については、Webサイトから引用する:

東京国立博物館は、150年という日本でもっとも長い歴史をもつ博物館です。第2部では明治から令和にいたる博物館150年の歩みを3期に分け、それぞれの時代に収蔵された作品や関連資料を通して東京国立博物館のこれまでと現在、そしてこれからを展望します。

第1章 1 8 7 2 - 1 8 8 5 博物館の誕生

東京国立博物館は、明治5年(1872)に旧湯島聖堂大成殿で開催された博覧会を機に誕生しました。その目的は、博覧会を通して日本の近代化を図ると共に、日本の文化力を国内外に発信すること、そして急激な西欧化で危機的状況にあった文化財を守ることであり、博物館に加え、植物園、動物園、図書館の機能を備えた総合博物館を目指した壮大なものでした。明治15年(1882)、この日本初の近代総合博物館は、上野公園の現在地へ拠点を移し、その活動を本格化させます。

第2章 1 8 8 6 - 1 9 4 6 皇室と博物館

明治19年(1886)、博物館は宮内省所管となり、3年後に「帝国博物館」、さらに11年後に「東京帝室博物館」と改称されます。国家の文化的象徴、さらには皇室の宝物を守る美の殿堂と位置付けられ、歴史・美術博物館としての性格を強めていきます。この帝室博物館の時代に、関東大震災による本館の損壊と復興、戦争による文化財疎開という大きな出来事を経験すると共に、収蔵品や調査研究の充実が図られ、現在に続く博物館活動の基礎が築かれました。

第3章 1 9 4 7 - 2 0 2 2 新たな博物館へ

終戦後の昭和22年(1947)、当館は国民の博物館として新たな一歩を踏み出しました。そして今日まで、組織の拡充と改編、施設の増改築を重ねつつ、変わることなく文化財の収集保存、展示公開、調査研究に取り組むと共に、最新技術の導入、新たな研究領域の開発、文化財活用の充実など、つねに社会や時代の変化に応じた博物館活動に挑戦しています。今この時も変わることなく変わり続ける新たな博物館、それが東京国立博物館なのです。

第2部の展示より、《金剛力士立像》、菱川師宣見返り美人図》が写真撮影可能であった。

金剛力士立像》(阿形と吽形)平安時代 12世紀

菱川師宣見返り美人図》江戸時代 17世紀

美しい装丁の図録も素晴らしい。300ページ超で事典のようにずっしり。大判の写真で掲載された作品とその解説、東京国立博物館の 150年の歩みが記されている。

夕食をとった東京文化会館では、フジコ・ヘミングの公演が行われていた。その公演が終わる前に、レストラン・フォレスティーユで夕食を済ませた。仕事を早く上がり、上野に出かけ、ビールを飲み、展覧会を見る。至福の金曜日であった。