Muranaga's View

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「土門拳の古寺巡礼」展で、クローズアップされた仏像の表情に魅せられる(東京都写真美術館)

東京都写真美術館で開催されている「土門拳の古寺巡礼」展に足を運ぶ。土門拳のライフワーク『古寺巡礼』刊行から 60年を記念して開催されている展覧会である。

室生寺弥勒堂 釈迦如来坐像左半面相

室生寺金堂 薬師如来立像、十一面観音立像、十二神将立像

展覧会の Web サイトから、概要を引用する:

ドキュメント、人物、古美術、建築、風景、そのいずれにも忘れがたい作品を残し、日本の写真史に巨歩を記した土門拳(1909-1990)。ライフワーク『古寺巡礼』の第一集が刊行されたのは1963年、今年で60年を迎えます。戦前から仏像行脚を続けた土門は、みずからの眼で選んだ古寺や仏像を徹底して凝視し撮影。建築の細部や仏像の手や足、口などをクローズアップで捉える独自のスタイルを貫きました。『古寺巡礼』の刊行途上、脳出血で倒れ、以後は車椅子生活になってからも不屈の精神で撮影を続行し、1975年、第五集で完結。本展はカラーの代表作と、土門を魅了した室生寺の釈迦如来坐像をはじめ、重量感のある平安初期の木彫仏を中心にモノクロームの仏像写真と、合わせて約120点を展観します。土門が対象の本質に迫った、力強く個性的な「日本の美」をご覧ください。

平安初期の木彫仏は「弘仁こうにんぶつ」と呼ばれる。昭和14年、美術史家の水澤澄夫が、その魅力を伝えるために土門拳を奈良の室生寺に案内した。この訪問で、弥勒堂の釈迦如来像にすっかり魅せられた土門拳は、その後 40年にわたって古寺を訪ね、多くの作品を発表していった。

土門の撮る仏像は、顔が大きくクローズアップされ、その表情がよくわかる。力強い顔であったり、慈悲あるいは母性に満ちた表情であったり、「あぁ、仏像を撮るということは、そこに秘められたものまでも写し取るものなのだ」と、心を動かされる。土門は、仏様一人ひとりと真摯に向き合い、そこで感じたものを写真という形にして残している。

土門のライフワークである『古寺巡礼』は全五集からなるが、『土門拳の古寺巡礼』という代表作を集めた超ダイジェスト版のような本があり、この展覧会もその本で選ばれた作品を展示している。言いかえれば『土門拳の古寺巡礼』が、この展覧会の図録の役割を果たしており、そこに掲載された土門拳自身のエッセイや、さまざまな解説により、作品の背景に迫ることができる。

この本に書かれた解説によれば、土門は中学生の頃、関東大震災で焼けた後の横浜市立図書館に通いつめ、1年ほどの間に美術や歴史関係の本のほとんどを読み切ってしまったという。その中に和辻哲郎の『古寺巡礼』も含まれており、挿絵の写真にみる奈良や京都の仏像や建築は、土門少年の憧れだったそうだ。

久しぶりに恵比寿ガーデンプレイスに来た。絵になる建物が多い。

アトレ恵比寿にある「つばめグリル」でランチ。前日はアトレ目黒にある「To The Herbs」で、中学高校の同級生と昼飲みしていたので、連日アトレにお世話になったことになる。