Muranaga's View

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竹内栖鳳を巡る小さな旅:大倉集古館から山種美術館へ

雨の土曜日。NHK日曜美術館アートシーン」で紹介されていた大倉集古館の「近代日本画の華」展に行く。東京ミッドタウンでランチ。その後、思い立って山種美術館「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」展まで足を伸ばす。雨の中の都心ドライブは、図らずも竹内栖鳳の作品を巡る小さな旅となった。

泉ガーデンに車を置いて、大倉集古館まで歩く。斜面をうまく庭園化した泉ガーデンは好きな場所の一つである。あいにくの雨だが、屋外エスカレーターに乗るのが、ちょっと未来的で気持ちいい。

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スウェーデン大使館、スペイン大使館の横を通って、ホテルオークラの敷地内にある大倉集古館に向かう。

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大倉集古館

1930年にローマで開催された「日本美術展覧会」は旧大倉財閥の2代目、大倉喜七郎が全面的に支援したが、今回そこに出品された作品を中心に、大倉文化財団が所蔵する日本画が 25点、展示されている。横山大観、橋本雅邦、菱田春草川合玉堂伊東深水鏑木清方竹内栖鳳といった大家の作品が並ぶ。中でも竹内栖鳳が闘鶏を写実的に描いた《蹴合》が印象に残った。

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竹内栖鳳《蹴合》(大正15年、1926年)

東京ミッドタウンHARBS でランチ。雨のせいか、人通りは少なめで、HARBS も空いていた。ここに来るといつも、パスタとミルクレープのセットを頼んでしまう。

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東京ミッドタウン HARBS のランチ

ランチ中に調べてみると、山種美術館にて「竹内栖鳳とアニマルパラダイス」展をやっていて、事前予約も必要なさそうなので、そのまま足を伸ばすことにする。

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山種美術館

近代京都画壇を牽引した竹内栖鳳の動物画 17点を中心に、その子弟たちの絵を展示している。中でも《班猫》は、その柔らかな毛並み、モフモフ感が緻密に表現されている。竹内栖鳳の代表作でもあり、重要文化財となっている作品である。

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竹内栖鳳《班猫》(大正13年1924年

竹内栖鳳については『別冊太陽 竹内栖鳳』がよい入門書になる。この本によると、沼津で見つけた猫を、自身の絵1枚と交換に譲り受け、それを京都の画質で遊ばせ、撮影・写生を繰り返して完成させたのが《班猫》だという。

別冊太陽211 竹内栖鳳 (別冊太陽 日本のこころ 211)

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  • 発売日: 2013/09/02
  • メディア: ムック

ドライブの締めくくりは、地元の西方寺で見ごろを迎えた彼岸花。雨の彼岸花もなかなかよかった。

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