横浜のそごう美術館で「北斎展」が開催されている。葛飾北斎の展覧会と言えば、今年の初めに行われた「新・北斎展」が圧倒的であったが、今回は複製画による展覧会であり、『冨嶽三十六景』全作品(ベロ藍を使った主版「表富士」36作品+墨で摺られた追加版「裏富士」10作品)、およびその数年後の『富嶽百景』全作品が展示されている。北斎ならではの大胆な、しかし計算された構図を楽しむことができる。
主な作品については、解説も詳しい。そして複製画ということで、写真撮影も可能となっている。夏休みの課題をやるためか、小中学生が多く、少々賑やかな会場となっていたのが、残念ではある。
- 作者: 大久保純一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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大久保純一『カラー版 北斎』によると、『冨嶽三十六景』は北斎 71歳の頃から刊行が始まり、名所絵の揃物として異例のヒットとなり、当初の36図ではなく46図まで刊行される。その史的意義は、まずベロ藍(ブルシアン・ブルー)の濃淡と、北斎らしい幾何学的な構図により奥行きのある表現を実証したこと。次に名所絵が錦絵の人気分野になったこと、そして次世代の揃物の画帖化につながったことが挙げられる。
『冨嶽三十六景』より:
『富嶽百景』より:
- 作者: 浅野秀剛
- 出版社/メーカー: 平凡社
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