Muranaga's View

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力強く、だが繊細なタッチで美しい音色を奏でる藤田真央。ラハフ・シャニ指揮ロッテルダム・フィルとの協演でラフマニノフ第3番(ミューザ川崎)

だんだんチケットの入手が難しくなり、藤田真央君の追っかけもそろそろ終わりかもしれない。今日は若手実力派の指揮者ラハフ・シャニ率いるロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団との協演で、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番である。

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曲目:

今回、何よりびっくりしたのは燕尾服で真央君が登場したことである。もしかして初めてではないだろうか?(聞くところによると、師匠・野島稔の形見とのこと)

藤田真央のラフマニノフ 3番を聴くのは、2回目になるが、ゆったりした前回よりは早めの、どちらかというと通常のテンポでの演奏であった。第1楽章の美しいカデンツァは相変わらず。ほとんど間をとることなく、第2楽章、第3楽章と進んでいく。ピアノがよく鳴る。力強さの中に、指の先まで繊細なタッチの美しい音色が同居する。それが藤田真央のピアノだ。

シャニ指揮のオーケストラは、対向配置(古典的な配置)。ミューザ川崎の円筒のような空間を伝って、4階席まで届く大きな音が心地よい。ピアノとオーケストラが奏でるグルーヴ感溢れる演奏が素晴らしかった。はつらつとした若い二人の熱が伝わってくる。

アンコールはプロコフィエフ前奏曲。藤田真央は絶妙にコントロールされたタッチで、ため息が出るような美しい音色を奏でる。特に右手のグリッサンドには感動した。この曲の演奏は YouTube でも見ることができる。

そしてサービス精神旺盛な二人は、何とドヴォルザークのスラブ舞曲を連弾で披露、聴衆を楽しませてくれた。シャニは指揮者というだけでなく、ソロ・ピアニストとしても活躍しているのである。


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この1年、藤田真央のピアノ協奏曲をかなり聴いた。シューマンラフマニノフの2番と3番ベートーヴェン「皇帝」チャイコフスキー…。

一度、ピアノ・リサイタルでソロの演奏を楽しみたいところである。頑張ってチケットを取るしかないなぁ。

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休憩のあとは、ブラームス交響曲第1番。美しいメロディ。熱のこもった演奏。こちらも堪能した。4階席からはオーケストラの全貌が見渡せる。対向配置はアンサンブルがむずかしいと聞くが、まったくそんなことは感じさせないものだった。

7時に開演した演奏会が終わったのが 9時半。余韻に浸りながら家路につく。次に真央君の演奏を聴けるのはいつになるだろうか?

ちなみに演奏会の前の腹ごしらえは、いつものように川崎駅ビルアトレのイタリアン TAVOLA にて。