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「小林研一郎×藤田真央 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団」:こんな「皇帝」は聞いたことがない(鎌倉芸術館)

2023年も藤田真央君の追っかけをやっている。今日は鎌倉芸術館にて「小林研一郎×藤田真央 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団」のコンサートである。

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曲目:

藤田真央とコバケンによるベートーヴェンは、「こんな『皇帝』は聞いたことがない」という演奏だった。まず全体にテンポがゆっくりで、一音一音がよく聞こえる。そして第1楽章のカデンツァがまさに初めて聞く旋律だった。あとで確認してみると、やはり真央君の自作オリジナルであった。真央君はテンポを自在に変えてグルーヴ感を出していく。そんなピアノに呼応するようなオーケストラ。美しく厚みのある演奏であった。

そんなきらびやかな「皇帝」の後に、軽やかに弾くモーツァルト。ピアノを習った人なら弾いたことがあるであろうソナタ(僕でさえ弾いたことがある)だが、全く別の曲に聞こえる。真央君らしく、装飾音がたくさん入っている。「そこにそう入れる?」というユニークな装飾。それでいて全然、音が余らない。

ドヴォルザークの「新世界より」を聞くのは実に久しぶりだが、やはりメロディアスでいい曲である。オーケストラもよく鳴っていた。小林研一郎は御年 83歳には全く見えず、エネルギッシュに曲を盛り上げる。

アンコールのハンガリー舞曲も、コバケンらしいダイナミックなテンポで盛り上がった。

藤田真央君は本当に多忙だ。明日は同じ演目を大阪で演奏する。そしてその数日後の 1月25日には、ニューヨーク・カーネギーホールでリサイタルデビューする。体調には十分気をつけてほしい。

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鎌倉芸術館大船駅から徒歩10分。大船駅で降りるのは 5-6年ぶりだが、駅前に船の形のショッピングビルができていて、さらにその先には KIOXIA の新しい技術棟が建てられていた。

横浜そごうにあるイタリアン「IL PINOLO SKY TERRACE 横浜」で夕食、夜景を眺めながら今日のコンサートの余韻に浸る。