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千住真理子ヴァイオリン・リサイタル:抒情的で美しい名曲の数々を聴く(横浜みなとみらいホール)

千住真理子さんヴァイオリン・リサイタルという、貴重な演奏会のチケットを譲っていただいたので、午後お休みを取って聴きに行く。題して《ポエジー&ピースフル・メロディ》。コロナ禍の間に出した 2枚の CD「ポエジー」「ピースフル・メロディ」からいくつか曲を選んでおり、このリサイタルもそのタイトルになったとのこと。ピアノ伴奏は山洞智さん

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曲目・演目

美しい名曲ばかりのリサイタル。世界に4台しかないストラディヴァリウスの名器デュランティを聴く貴重な機会でもある。

純白のドレスで現れた千住真理子さん。みなとみらいホールでの演奏は 9年ぶりになるとのこと。演奏の間にお話しして、曲を紹介してくれる。たとえば:

  • シャコンヌ」は12歳のデビューの時にも弾いた。
  • フランクのヴァイオリン・ソナタは、CD には入っていないが、自分の中ではやはりポエジーな曲。兄の千住博日本画を描く時に大音響でかけていた思い出がある。さぞ近所迷惑だったことだろう。
  • 亜麻色の髪の乙女」を演奏する時には、弱音器をつける。靄のかかったような音色になり、夢の中で見る光景のような音楽になる。
  • 亜麻色と来たので、次は「金髪のジェニー」。数学者である父について家族でアメリカを縦断した時に、いろいろな土地でよく聞いた曲。 -「鳥の歌」は、カザルスが国連で演奏した時から平和を象徴する曲に。師匠の江藤俊哉先生のロマンティックな演奏が心に残っている。
  • 最後はスペイン舞曲。明るく足で拍子を取りたくなるような曲。

お話の途中、自分のリサイタルや、CD の宣伝もされる。伴奏の山洞智さんは、ピアノだけでなくチェンバロも演奏されるとのことで、八ヶ岳音楽堂での2人の演奏会は、両方の音で伴奏されるとのこと。

アンコールは、ホルストのジュピター。そしてモンティのチャルダッシュ。速弾きのところでは、聴衆も手拍子で合わせ、一体となって盛り上がった。リサイタルの後、サイン会に並ぶ方も多かったようだ。

ストラディヴァリウスデュランティを演奏する千住真理子さんのテクニックにより、実にさまざまなヴァイオリンの音色を聴くことができた。お話の通り、ポエジーであったり、メランコリックであったり、美しい曲の数々を堪能したリサイタルであった。

蛇足だが、舞台を大股でさっさと歩いたり、アンコールも舞台裏と行ったり来たりせずにすぐに演奏を始めたり、きっと千住真理子さんはせっかちなんだろうなぁ、と思いながら眺めていた。