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上野の美術館巡り(2):「円山応挙から近代京都画壇へ」展(東京藝術大学大学美術館)

上野の美術館巡りは、国立西洋美術館「松方コレクション展」から東京藝術大学大学美術館で開催されている「円山応挙から近代京都画壇へ」展へ。18世紀の京都で、円山応挙は「写生画」で一世を風靡し、円山派を確立した。中国の絵画や狩野派が主流の時代に、身近なテーマを描いた応挙の写生画は、画題の解釈を必要とせず、見るだけで楽しむことができ、人気を博した。

一方、与謝蕪村に学び、その後応挙に師事した呉春により、四条派ができた。そして京都では円山・四条派が主流となり、近代の京都画壇に至るまで影響を与えた。今回の展覧会では、円山応挙・呉春に始まり、同時代の長沢芦雪、そして近代の川端玉章竹内栖鳳上村松園といった京都の画家たちへの系譜を辿っていく。

okyokindai2019.exhibit.jp

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東京藝術大学大学美術館

目玉は何と言っても、兵庫・大乗寺の襖絵群の再現である。大乗寺は「応挙寺」とも呼ばれ、その障壁画を依頼された応挙は一門を率いて揮毫したという。展覧会に入るとすぐにその襖絵の立体展示が目に飛び込んでくる。『松に孔雀図』は金の地に墨一色で描かれているが、光の当たり具合によっては、孔雀は青に、松葉は緑に見える。

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円山応挙『松に孔雀図』

実のところ、僕はこの京都の画家たちの絵が好きみたいだ。円山応挙のどこか品のある絵であったり、竹内栖鳳の写実性の高い絵と技術であったり、マイナーではあるが木島櫻谷(このしまおうこく)の静謐な絵であったり、好きな日本画は京都出身の画家たちの手によるものが多いことに、改めて気づいた。

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円山応挙竹内栖鳳長沢芦雪が描く子犬たち、木島櫻谷『山水図』

公式図録は一般書として購入可能である。この展覧会のタイトル通り、応挙・呉春に始まる円山・四条派から近代京都画壇までの系譜について、いくつかの解説記事を読むことができる。

円山応挙から近代京都画壇へ

円山応挙から近代京都画壇へ

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公式図録表紙、京都画壇に関わる地図

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別冊太陽211 竹内栖鳳 (別冊太陽 日本のこころ 211)

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