Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

『謎解き 鳥獣戯画』を読んで、「特別展 国宝 鳥獣戯画のすべて」に行った気になる

緊急事態宣言によりトーハクも臨時休館となり、「特別展 国宝 鳥獣戯画のすべて」に行くこともかなわなくなった。

chojugiga2020.exhibit.jp

謎解き 鳥獣戯画 (とんぼの本)

謎解き 鳥獣戯画 (とんぼの本)

  • 発売日: 2021/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

代わりに、と言っては何だが、この特別展を企画したトーハクの学芸員、土屋貴裕氏による詳しい解説が掲載された『謎解き 鳥獣戯画』を読んで、展覧会に行った気になることにした。甲乙丙丁全四巻、全場面が掲載された折り込みページが付いている。展覧会の公式図録はオンライン販売されているものの、今日時点では品切れ中であった。

f:id:muranaga:20210414164953j:plain

f:id:muranaga:20210414164958j:plain

鳥獣戯画」の文化財としての指定名称は「紙本墨画鳥獣人物戯画」、鳥獣だけでなく人物を中心に描いた巻もある。甲乙丙丁4巻を合わせた全長は 44m 50.8cm。800年に及び伝来の中で失われた部分(「断簡」)もあり、当初はもっと長かった。甲・乙巻は平安時代末期、丙巻が鎌倉時代初期、丁巻はそれよりやや後に描かれたとされている。色がなく、詞書(ことばがき)がない。このため作品のテーマや意図がはっきりとはしていない。京都の高山寺(こうさんじ)に伝来している。

この本では各巻について、絵師が何人か、どういう絵師だったと考えられるか、断簡や模本の存在、紙の表裏に描かれていたのを「相剥ぎ」(あいへぎ)によって薄く2枚に分けて前後につなぎ合わせたことなど、専門的な解説がなされている。

それと同時に、甲巻の前半・後半での絵師二人の違いなど、鑑賞のポイントやみどころが紹介されている。実際の展覧会では、動く歩道で甲巻を鑑賞するようになっている。行ってみたかったなぁ。