Muranaga's View

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帝国ホテル、浮世絵…。巨匠と日本のつながりを知る「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展(パナソニック汐留美術館)

国立西洋美術館キュビスムを学び、19世紀のアカデミーの絵画を見た後は、パナソニック留美術館で開催されている「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展に出かける。午後から行ったためだろうか、かなりの混雑で、会場に入るまでに 20組ほどの列ができていた。

panasonic.co.jp

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展覧会の概要を Web サイトから引用する:

アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867–1959)。「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家の顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家です。

2012年にフランク・ロイド・ライト財団から図面をはじめとする5万点を超える資料がニューヨーク近代美術館コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館に移管され、建築はもちろんのこと、芸術、デザイン、著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至るライトの広範な視野と知性を明らかにすべく調査研究が続けられてきました。こうした研究成果をふまえ、本展はケン・タダシ・オオシマ氏(ワシントン大学教授)とジェニファー・グレイ氏(フランク・ロイド・ライト財団副代表、タリアセン・インスティテュート・ディレクター)を迎えて日米共同でキュレーションを行ない、帝国ホテルを基軸に、多様な文化と交流し常に先駆的な活動を展開したライトの姿を明らかにします。

精緻で華麗なドローイングの数々をお楽しみください。世界を横断して活躍したライトのグローバルな視点は、21世紀の今日的な課題と共鳴し、来るべき未来への提言となるはずです。

シカゴ郊外のフランク・ロイド・ライト自邸とスタジオ(1889-1911年、公式図録 P.92-93)

僕がフランク・ロイド・ライトの名前を知ったのは、30年前。ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学を留学先に選んだ時である。ピッツバーグからの観光ポイントとして、同じペンシルバニア州にあるエドガー・カウフマン邸「落水荘」がガイドブックに紹介されていたのである。

当時は建築にあまり興味がなかったこともあって、車でわずか 1時間半の「落水荘」を訪れることはなかった。貴重な機会を目の前にしながら逃してしまったことを、今となってはとても後悔している。

エドガー・カウフマン邸「落水荘」(公式図録 P.74 より)

fallingwater.org

今回の展覧会は「帝国ホテル二代目本館 100周年」と冠がつけられているように、ライトと日本との関わりも大きく取り上げられている。

まず驚いたのは、ライトの浮世絵に対する熱烈な関心である。1905年の 7週間におよぶ日本旅行を通して、日本の風景や伝統的な建築に関心を持った。そして帰国にあたり、歌川広重の浮世絵を数百枚、シカゴに持ち帰り、翌1906年 3月にシカゴ美術館でそれを展示、日本の浮世絵について最初のエッセイも出版、施主たちに自邸に浮世絵を飾ることを熱心に勧めたという。

浮世絵的資格と建築ドローイング(公式図録 P.53 より)

帝国ホテル二代目本館は、1913年から設計が始まり、1923年8月に完成した。その間、ライトは何度も日本を訪れている。完成直後に関東大震災で被害を受け、別館は復旧困難で取り壊しとなった。その後、三代目本館に建て直されるにあたり、本館ロビーは明治村に移築された。僕も訪れたことがある。フランク・ロイド・ライトの設計だったのだと認識を改めた次第。

帝国ホテル二代目本館(公式図録 P.121 より)

明治村に移築された二代目本館玄関(左)、帝国ホテル四代目新本館イメージパース(右)(公式図録 P.123 より)

展覧会では、ユーソニアン住宅の原寸モデルが展示されている。Web サイトからその説明を引用する:

ユーソニアン住宅とは、ライトが1930年代後半から取り組んだ、一般的なアメリカ国民が住むことのできる安価で美しい住宅です。フランク・ロイド・ライトの建築教育の実践の場であるタリアセンでかつて学んだ経験を持つ磯矢亮介氏にご協力いただき、初期の木造のユーソニアン住宅であるベアード邸(マサチューセッツ州アマースト、1940年)をお手本とした原寸モデルで、玄関から居間の空間を体験いただきます。

ユーソニアン住宅の原寸モデル展示

今回の展覧会を復習するために、公式図録(カタログ)を購入した。この本は市販されており、Amazon でも購入することができる。

展覧会公式図録

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