Muranaga's View

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4ヶ月ぶりの展覧会:「古典x現代 2020 時空を超える日本のアート」(国立新美術館)

コロナ第2波が来ている中、世間は夏休みに突入した。4連休である。僕の場合、会社方針で夏休みを4月に移動させていたので、3連休。お盆もほぼいつものように仕事をするスケジュールとなっている。「Go To トラベル」という気分にはなれず、状況を見ながら、近場で「3密」を避けながら余暇を楽しむという感じになるだろうか。

美術館・展覧会が、日時指定で入場制限しつつも、再開されているのが嬉しい。実に 4ヶ月ぶりに展覧会に出かけた。国立新美術館で開催されている「古典x現代 2020 時空を超える日本のアート」展である。

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kotengendai.exhibit.jp

事前に日時指定券を入手する。既にチケットを購入している僕のような人間は、無料の日時指定券を手に入れ、会場入り口(もぎり)で、それをチケットと共に提示すればよい。当日の朝、スマホで空き状況を確認してみると、午前中でも結構空きがあり、開館直後の 10:15-10:30 入場の券をゲットした。

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国立新美術館には 10時前に着いてしまった。入り口で体温を測定された後、入場まで外のテラスで時間をつぶす。木々に囲まれたウッドのテラス。普段だったら会場に直行してしまって、こういう空間があることにも気づかなかっただろう。

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10:15 に会場に行くと、既に人が 2m 感覚で並んでいて、順次入場している。日時指定券の空きや、列の人数を見ると、15分間に 50人入れている感覚である。

さて、肝心の展覧会。日本の古典美術に、現代のアーティストが触発されて、コラボレーションするという企画(展覧会のみどころ)である。結論から言うと、とても面白かった。現代の作家たちが、古典美術に敬意を払い、そしてそこからのインスピレーションから作品を作っているのが、しっかりと感じ取れる。

それが一番わかり易いのが「北斎 x しりあがり寿」である。〈冨嶽三十六景〉に着想を得たパロディ〈ちょっと可笑しなほぼ三十六景〉。それに加えて北斎の画狂ぶりを短編のアニメ作品に仕立てていたが、北斎へのリスペクトぶりが溢れ出ていた。

そして心を揺り動かされたのは「仏像 x 田根剛」。西明寺に伝わる日光菩薩月光菩薩の二つの仏像にふさわしい光のインスタレーション。さまざまな仏像の見え方を可能にした空間で、仏像と向き合うことになる。

写真は「刀剣 x 鴻池朋子」。切る道具としての刀剣と、切られた形での《皮緞帳》が展示されている。

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そして何よりも、日本の古典美術の素晴らしさに改めて気づく機会ともなった。尾形乾山光琳実弟)の造形・色使いは、300年後の現代でも十分に通用する。京都国立博物館蔵のデビュー作は必見であった。そして奇想の画家・曽我蕭白。《寒山拾得図屏風》が見られる。これが個人蔵というのも凄い。円空の一木造の仏像からは、素朴で粗い彫りから、暖かさであったり、荒々しさであったりが伝わってくる。同じく一木造にこだわっている現代の彫刻家・棚田康司は、円空の仏像を「彫刻」と呼んでいる。

1時間強で観られる規模の展覧会だが、古典から現代まで、さまざまなかたちの日本美術に思いを馳せるよい機会であった。やはり美術展覧会はいい。僕にとって、心のリフレッシュをするよい機会となっていることを改めて感じた。

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