Muranaga's View

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心のざわめきを喚起する「ざわつく日本美術」(サントリー美術館)

2回目のワクチン接種を受けて約2週間。そろそろ効果が出る頃になるが、油断はできない。従来通り、感染予防に気をつけて行動しなければ。そういう意味だと、空いている美術館・展覧会は、数少ない心が落ち着く場である。

ところがサントリー美術館で開催されている「ざわつく日本美術」展は、心を落ち着かせると言うよりは、その名の通り、心がざわつくような作品や展示方法を通して、所蔵の美術品を紹介している。

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尾上菊五郎》明治8年頃

たとえば《尾上菊五郎》。江戸時代の浮世絵(役者絵)を見慣れた人々には受け入れられなかったと言う。この作品の持つリアルさ・生々しさがその要因と考えられている。当時の「砂目石版」という印刷技術により、独特の陰影表現が生まれている。浮世絵から写真への過渡期の中で、少し時代を先取りした作品で、当時の人々の心をざわつかせたのかもしれない。

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作品を裏返してみると面白い発見があるかもしれない。たとえば重要文化財《色絵五艘船文独楽形鉢》の裏には「寿」の文字が書かれている。表に描かれているオランダ船を、宝物を運んでくる宝船と見立てたと考えると、この作品の吉祥性が「寿」という文字に込められている可能性がある。

屏風の裏や、能面の裏を見せる展示もある。

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そうそう、心をざわつかせる展示会と言うと、「奇想の系譜展」が思い起こされる。

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いつものように HARBS でランチ。ここも空いている。ランチサービスの値段が少し上がっているのは気になるものの、パスタの後のケーキとコーヒーで、ホッと一息をつく。そうして、ざわめいた心を落ち着かせたはずだったのだが…。

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