会社休日は雨。運転免許証の更新処理を終え、一度行ってみたかった「果実園リーベル」 横浜ランドマークプラザ店にてランチ。たくさんフルーツが添えられたプレートと、ミックスジュースを楽しむ。
ランチのあとは横浜美術館の「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展へ向かう。
オルセー美術館が駅舎をベースに作られたのに対し、オランジュリー美術館はオレンジの温室をベースに作られており、オルセーを補足するような作品群が所蔵されている。今回の展覧会では、20世紀初めの画商ポール・ギヨームとドメニカ夫人による「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」が来日しており、印象派を中心とした 70点もの作品を堪能することができる。ポール・ギヨームは自動車修理工だったらしいが、アフリカ美術にめざめ、それが当時のフランスで人気を博したことにより、時代の寵児となり画商へ転じたらしい。モディリアーニやスーティンといった画家を支援している。自らも作品を収集して私邸を美術館にするつもりだったが、42歳という若さで亡くなった。その後、ドメニカ夫人(かなりスキャンダラスな女性である)がそのコレクションに手を加え、彼女の2番目の夫となったジャン・ヴァルテルと、ポール・ギヨームの名を介したコレクションとして、フランス国家に譲渡され、オランジュリー美術館所蔵となった。
今回、そのコレクションのうち半数近くが来日しており、印象派、ポスト印象派、エコール・ド・パリ、フォーヴィズムを代表する画家ごとに、作品が並べられている。ルノアールだけではない、モネ、シスレー、セザンヌ、ルソー、ユトリロ、ピカソ、マティス、ローランサン、モディリアーニ、ドンゲン、ドラン、スーティンといったバラエティー豊かな名作を楽しむことができる。
ルノワールの鮮やかな色使いと柔らかな筆致に改めて、その絵の美しさを感じる。図録では《ピアノを弾く少女たち》と同じテーマで描かれた、オルセー所蔵の作品が比べられるようになっている。
アンリ・ルソーの代表作《婚礼》や《ジュニエ爺さんの二輪馬車》も来ている。個人的には、セザンヌの静物画やユトリロの白い建物の絵に惹かれた。近代絵画の父と呼ばれるセザンヌの真価を理解できている訳ではないが、《りんごとビスケット》は、黄色と赤で鮮やかに描かれたりんごと、ビスケットの乗った青い皿の配置、壁紙の花柄などのバランスが絶妙である。
ユトリロの「白の時代」に描かれた建物は、哀愁を帯びている。
今回の展覧会で、思わぬ収穫があったのは、ミュージアムショップで、昔の展覧会の図録が安く販売されていたことである。2008年の「セザンヌ主義」展の図録が 980円はお買い得、というので、さっそく入手した。セザンヌの作品約40点と、その影響を受けた象徴主義、フォーヴィズム、キュビズム、そして日本の画家たちの作品 100点が収録されており、画集としても、またセザンヌに対する理解を深める読み物としても、楽しむことができた。ただしセザンヌ自身の絵は多くはない。「もっとセザンヌのマスターピースがたくさんあったらよかったのに」と思うが、2008年当時、セザンヌの絵を借りるのは高額に過ぎたのかもしれない。