森村泰昌の「M式『海の幸』」で頭を揺さぶられた後は、心穏やかにアーティゾン美術館の石橋財団コレクションを楽しむ。テーマは「印象派ー画家たちの友情物語」。
漫画家のにしうら染が描く「印象派画家相関図」がわかり易い。交遊関係を踏まえて、影響を与え合った画家たちの作品が並べられている。展覧会の解説パネルの内容を簡単に紹介していく。
セザンヌはピサロを通して、モネやルノワールと言った印象派の画家たちと交流。ピサロはセザンヌにとって師であり、父のように慕う大切な友人であったと言う。
1874年のサロンに入選したメアリー・カサットの絵を見たドガは、それを称賛し、印象派への参加を勧めた。二人の友情は生涯続いたが、ドガの死後、カサットはドガからの手紙をすべて燃やしてしまったため、二人の会話は知ることができない。
カイユボットはルノワールの誘いを受けて、第2回印象派展に参加した。カイユボットは画家として作品を制作する一方で、印象派の仲間たちの作品を購入して、彼らの生活を支えた。1894年にカイユボットは 45歳で亡くなるが、遺言執行人としてルノワールが尽力、美術局長官らと2年にわたる交渉の末、カイユボットのコレクションを国家に寄贈する遺志を果たすことができた。
モネとシスレーは 1860年代にパリのシャルル・グレールの画塾で出会った。二人は一緒に郊外に出かけて戸外で制作し、共に風景画家として活動した。シニャックは 1880年、16歳の時にモネの個展に感銘を受け、画家になる決心をする。その4年後、全く面識のないモネに、シニャックは手紙を送り、アドバイスを求める。モネは23歳年下のシニャックに会う機会を設けた。
因みに杉全美帆子『イラストで読む 印象派の画家たち』は、印象派の画家がどんな人たちだったのか、その人物像・交流関係のエピソードをイラストを交えてユーモラスにわかり易く紹介する本である。情報量が多くて読みごたえがある。
「印象派ー画家たちの友情物語」の後は「特集コーナー展示 挿絵本にみる20世紀フランスとワイン」の部屋へ。


昨年来た時はアーティゾン美術館の瀟洒な作り、所蔵する多くの名作群に圧倒されたが、その印象は1年経っても変わらない。現代美術家のコラボ企画と言い、常設コレクションと言い、その充実した展示を前に、満足の再訪となった。1年に1回くらいの頻度で常設コレクションに会いに来るのもいいかもしれない。
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